動物は 全ての基本

アメリカマンガには、動物マンガのすぐれたものがたくさんある。
「猫のフェリックス」というマンガを描いたパット・サリバンさんは、
「マンガを勉強するなら、まず動物マンガから入りなさい。動物がうまく描けるようになれば、人間の絵も楽にこなせます」
といっている。
どういうわけか、日本には、最近、動物マンガがきわめて少ない。劇画にごくたまに出てくる動物も、たいていリアルでマンガとはいえないものである。少女マンガに登場するペットだって、単なる物語のアクセサリーにすぎないものが多い。
しかし、動物マンガはだれが見たってたのしい。三歳の幼児から、老人まで動物マンガなら喜んで見る。なぜだろう。動物マンガには、人間の社会や人生や、人間そのものの姿が、うんと素朴に、シンプルに出せるからなのだ。(79ページ)


動物を描けることが基本なのか。そうだったのか。
オレも動物を描いてみようか。初心に戻る。動物を描いてみたら何かがわかるかもしれない。動物を描く前と後では、オレのユキダルマッチョに対する見方も変わるかもしれない。あわよくば、描きあがった動物キャラをユキダルマッチョのペットにしてやってもいい。ペットを可愛がるユキダルマッチョ。なんてココロ優しき正義の味方だ。キッズのハートをがっちりキャッチ。オマケにPTAの役員どものハートもキャッチしてやるぜ。





イヤ。R15指定だろ、コレ。ハートをキャッチするどころかPTAに怒られちゃうよ。
なんか、何かを描くたびに自己嫌悪に陥るな、オレ。この企画、精神衛生上良くないんじゃないだろうか。
「あー。よく寝た。ノリツグ、体温計貸して。なんか熱、下がった気がするんだよね」
ペン大王の声。なんかおとなしいな、と思ってたら、寝てたのか、コイツ。
「睡眠って大事だねぇ。・・・えーと、28℃。下がりすぎだろ、コレ。人間だったら死んでるっつの」
「砂漠なみの温度差ですね」
「お。新しいキャラクター、できあがってんじゃん。すげぇヤな感じのキャラクターだけど」
「もう、なんか、逃げ出してぇっす、オレ」
「そんな落ち込んでるオマエに元気の源を・・・」
ゴソゴソしだすペン大王。腰巻きの中から一枚の紙が。
「応援メッセージ」
「お。お。お。初ファンレターじゃないっすか! やっと来たよ、オレの時代が。早く読んでくださいよ」
「えー。これは静岡県のペンネーム『ユキダルマ子』さん。女性の方です。

ノリツグさん 初めまして。
拝啓手塚先生、毎月とても楽しく読ませてもらっています。
でもユキダルマッチョについてはちょっと言わせてください。
文章はおもしろくて楽しいのですが、ユキダルマッチョはいかがなものかと思います。
ちょっと気持ちわるいです。
もっとかわいらしいキャラにすればいいのにと思います。
がんばってかわいいキャラをかいてください。


以上です」
「おう。コイツの住所、どこだ? 行ってはり倒してやる」
「やめとけよ。良かれと思っての提言なんだろうからさ」
「オメェもオメェだよ、コラ。どこが『元気の源』なんだよ。これ以上オレをヘコませてどうする気だ」
「イヤ。良かれと思ってね・・・プッ」
「あ。今、笑ったな?笑ったな?」
「とにかく、やっぱりさ。かわいくないんだよ、コイツ」
「ねぇ。ユキダルメシアンにいたっては、人面犬そのまんまですからね」
「来月はちょっと予定を変えてさ。ユキダルマッチョをもっと『キャラクター』にしよう。今はまだ『キャラクター』になってないんだよ」
「でも、これ以上いじる自信ねぇっすよ。来月は『ノリツグ、ユキダルマ子をはり倒すの巻』で最終回にしましょう」
「心配すんな。すげぇゲスト連れてくるから。その人にオマエの先生になってもらう」
「そんなことしなくてもペン大王自身がオレに教えればいいじゃないですか」
「バカ。オマエ。オレは、アレよ。マスコット的存在だからよ。おしゃべりは厳禁なんだよ」
「アンタのことはり倒して最終回でもよくなってきたな」


---つづく---

 
 ハギワラノリツグ プロフィール
千葉県出身の26歳。インディーズバンド「バックドロップス」のリーダー。
一応美大のデザイン科出身だが、在学していた4年間で学んだことは「オレはデザインができない」という一点のみ。音楽で生計を立てていくことを誓うも、ナカズトバズでやんす。今回2年ぶりに絵筆を持ちます。運だけで生きてます。よろしく。
あ。2nd アルバム「DELTA END」絶賛発売中です。

バックドロップス Official Site



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