第二回「ボクはどんなキャラクターを描きたいのだろうか」一の巻

一般すぎるほどの一般人、人間最大公約数ことハギワラノリツグが一流のキャラクターデザイナーになるために、一年間という長い期間に渡って拘束される、ある意味サディスティックな、そしてどっかで聞いたことあるような企画です。
手元にあるのは「手塚治虫のマンガの描き方」という本、一冊のみ。
本を頼りに、手塚治虫に追いつけ追いこせ。
第二の手塚治虫を目指して、半分無理だと悟りながらもガンバります。
だからみんなもただ見てないで、ガンバレっつーの!

 
つかみはオッケー

ペン大王 また登場

「うふふ・・・。さぁ、つかまえてごらんなさい・・・」

その声に気付き、まわりを見渡す。
オレは見知らぬ花畑の中に佇んでいた。目の前に、地平線まで広がる花畑の向こうに見えるのは、そこに咲き乱れている花よりも可憐な美女だった。どんぐらい美女かというと、夏目雅子にクリソツ。その夏目雅子がオレに向かって微笑みかける。オレの目はハートになっちまった。ここがどこか?なんてことはどうでもいい。オレは貴女にライドオン。
オレは彼女に近づこうとするが、彼女はその綺麗な顔に微笑みをたたえたまま、遠ざかろうとする。その距離は縮まらない。オレ、近づく。彼女、遠ざかる。近づく。遠ざかる。近づく。遠ざかる。近づく。遠ざかる・・・。らちがあかないので、オレ、全速力で走る。そしたら彼女も全速力。破裂しそうな肺に、歪む顔。たれるヨダレに、散らばる花びら。「花畑に佇む美女」なんていう、先程までの可憐な構図はそこにはもうない。それはまさに地獄絵図、もしくはマイケル・ジョンソンとマリオン・ジョーンズの競争。嗚呼、シドニーの感動をもう一度! Qちゃーん!
突然、目の前に深い穴が現れた。オレは止まろうとするが、膝に乳酸が溜まって、うまく言うことを聞いてくれない。
深い穴の底に転落するオレ。動けないオレを助けるべく、彼女も穴を滑り降りてくる、が、途中でつまづいたらしく、オレの上にドスンと落ちてきた。オレの上に乗ったまま、彼女は叫ぶ。
「ねぇ、起きて! 目を覚ましてちょうだい! 起きて! 起きて! 起きろ! 起きろっつの! おい!」
うう・・・。重い・・・。

そこで目が覚めた。
「あ。おはよう」
「おはようございまふ」
って、オマエのおケツかよ!
「何してんの!?」
「つかみ。読者のハートをガッチリと、ね」
「『ね』じゃねぇよ。くだらねぇよ」
「イヤ。そんな言い方・・・。良かれと思ってやってるのにさ・・・」