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------ ペン大王
「パラッパラッパー」がまた盛り上がってますけど、これは野口さんたちが仕掛けていることなんですか?
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------ 野口
ゲーム制作のソニー・コンピュータエンタテインメントとアニメ制作のSME・ビジュアルワークスと我々グッズ制作のソニー・クリエイティブプロダクツの3社で仕掛けています。アニメもスタートして好調ですし、「parappa-the-rapper.com」というWebサイトも立ち上げました。プレステ2用のゲーム「パラッパラッパー2」も発売されて、初めて登場した時以上に盛り上げていこうって、いろいろやってます。
------ ペン大王
ずっとパラッパを担当していたんですか?
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6月にオープンしたウェブサイト「parappa-the-rapper.com」 |
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------ 野口
いえ、私が初めてパラッパを見たのは、最初のゲームがまだ開発中だったときなんですけど、その時はピングーを担当していたんです。で、当時のパラッパチームの人に「こんなゲームを作っているんだよ」って、テスト版をプレイさせてもらったのがパラッパとの初めての出会いだったんです。
------ ペン大王
へぇー、それじゃ、その時のパラッパの第一印象ってどんな感じだったんですか?
------ 野口
まず「なんだろう、このかわいいイキモノは」っていう感じでしたね。ただかわいいだけじゃなくて、奇妙な感じ。目がちょっとイジワルそうだったりして、ヒトクセありそうだなって思いました。なんか、そういうひっかかるものがあった方が、キャラクターって強いですよね。
------ ペン大王
いきなり極意が出ましたね…
------ 野口
ウチの会社はアーティストの方と契約を結んで、キャラクターを生み出す部分から関わることもあるんです。そんなことから、ビジネスになりそうかなっていう目でキャラクターを見てしまう部分もあるんですよね。
------ ペン大王
なるほど、じゃ、パラッパも生み出すところから関わってたんですか?
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パラッパとの出会いを細かく語ってくれた野口さん |
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------ 野口
その当時、私はパラッパチームにはいなかったんですけど、伝説は聞いていますよ。ロドニーさんとゲームプロデューサーの松浦さんやゲームのプロジェクトチームとのやりとりの間で、パラッパのデザインがなかなか決まらなかった時期があったんです。その時に煮詰まりまくったロドニーさんがいきなり「これでいいんじゃない?」って、エビを描いて送ってきたことがあったんですって。
------ ペン大王
は?エビですか?それはパラッパとしてですか?
------ 野口
そう。「パラッパってこんなでいいじゃない」っていうロドニーさんの、なんというか、ささやかな抵抗だったんですかね。なんでまたエビだったのかはロドニーさんにしかわからないんですけど。そのエビは、我々の苦労のシンボルとして、ゲームのどこかに登場しているそうですよ。
------ ペン大王
へー、おもしろいなぁ、伝説のエビかぁ。ところで、野口さんは今、どんな風にパラッパと関わっているんですか。伝説のエビみたいな苦労話ってなんかありますか?
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------ 野口
私は今、グッズの企画制作やWebサイト回りの企画なんかをしてるんですけど、そうですねぇ…(考え込む)…パラッパって、今、3パターンあるじゃないですか。
------ ペン大王
へ、なんですか、3パターンって?
------ 野口
ロドニーさんの原画のパラッパと、ゲームのパラッパと、アニメのパラッパ。
------ ペン大王
あぁ、そういうことか。そういえば、みんな微妙に感じが違いますよね。
------ 野口
それを今度はグッズで展開したり、特にWebサイトに登場させるときに、受け手の人たちにとって、それぞれの垣根ってどれくらいあるんだろうって、考えましたね。特にパラッパは、ゲームにはゲームのスタッフ、アニメにはアニメのスタッフがいて、それぞれの思惑や思い入れがあったりして、バランスを取るためにある方式をあてはめたんです。
------ ペン大王
はぁ、送り手ならではの悩みですねぇ。で、結局、どうなったんですか?
------ 野口
みんなで話し合っているときに、例えば「パラッパ」=「キムタク」と考えたとき、「SMAPでのキムタク」=「ゲームでのパラッパ」、「ドラマでのキムタク」=「アニメでのキムタク」といった感じでパラッパはいろんな活躍をしている、とまとめる「キムタク方式」が出たんです。きっとみなさんにとって改めてこういわれても、「はっ?」という感じかもしれませんが、スタッフ全員は、それを思いついた時、自分たちにとってのパラッパが納得できたというか。。。ユーザーの人たちは今のところ、ごく自然にそれぞれのパラッパを受け入れてくれているみたいですね。結局、みなさん、パラッパそのもののファンだったんですね。
------ ペン大王
じゃ、逆に、楽しかったエピソードなんかはどうでしょう。
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------ 野口
私はもともとおもちゃが大好きで、それでこの会社に入ったみたいなところもあるんですけど、(人形を取り出しながら)こういうコレクタブル商品の企画に加わった時は楽しかったですね。会議なのに脱線しまくりで、でも、それでOKみたいなね。
------ ペン大王
あぁ、かわいいっすね、これは集めたくなるよなぁ。
------ 野口
もちろん、どんなキャラクターを使ってどんな商品にしようとか、パラッパ帽のみはアリなのかとか、マジメな話し合いもしたんですけど、この星形のケースですね、特に楽しかったのは。
------ ペン大王
はぁはぁ。
------ 野口
こういうコレクタブルアイテムのケースって、捨てられてしまうことが多いんですけど、これはキャラクターを立たせるスタンドにもなるし、小物ケースにもなるし、ここに糸が通せるようになっているので、例えば、クリスマスツリーのね…
------ ペン大王
おぉ、飾り付けになるんだぁ!すごい、考えてるなぁ。
------ 野口
“今までにないケースだ”って、“これなら女の子のハートも掴めるのではー”とか、すっごい盛り上がって、ワイワイ楽しんで作ったんですよ。それから、数百個に1個しか出てこないスペシャルバージョンを考えたり、別 の商品を買ってもらった時の特典として、お金を出しても買えないプレミアムバージョンを企画したり、こういうのは楽しいです。
------ ペン大王
ははぁ、おもちゃ好きの血が…
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パラッパグッズを片手に楽しそうな野口さん |
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このようにケースの上にキャラクターが立つのだ! |
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------ 野口
騒ぎますねェ。(違うプレミアムを見せながら)これもプレミアムなんですけど、Tシャツにアルファベットが書いてあって。「P」と「A」と「R」の3種類があるんですけど…
------ ペン大王
あっ、わかった。パラッパのスペルができるんだ!
------ 野口
そうそう、それぞれいくつかずつ集めてもらわないといけないんですけどね。
------ ペン大王
なるほど、商売上手ですねぇ。これは集めたくなっちゃいますよ。
------ 野口
こんな風に受け手側のことを意識して、このキャラクターはこう展開すると楽しいんじゃないかとか、いろいろと考えていく仕事なんです。
------ ペン大王
今、なんか狙っているキャラクターとかってありますか。
------ 野口
うーん、探し中です。ただ、基本的にうちの会社は、誰もがいつも新しいキャラクターを探しているんですよね。それは役職とか肩書きとか関係なく。そういうアンテナは常に高くしています。例えば、あるイラストレーターさんの個展を、たまたまうちの社員が見て、それがピンときたらしくて、上司に見せたら「いーねー」ってことになって、アーティスト契約を結んだとか。
------ ペン大王
へー、そんなこともあるんだ。シンデレラ・ストーリーみたいじゃないですか。
------ 野口
それから、うちのキャラクターで「タマ&フレンズ」というのがあるんですけど。
------ ペン大王
あぁ、あのイラストのかーわいいヤツですね。
------ 野口
そうそう、あれはうちの女子社員が本当に飼っていたネコがいなくなって、近所に貼り出そうとして、ああいうネコのイラストを描いてたんですって。それをたまたま上司が見て、気に入ったのがキッカケだったそうですよ。もう20年くらい前の話だそうですけど。今度、アメリカでアニメになるんですよ。
------ ペン大王
へぇー、すごいなぁ。どこにチャンスが転がってるかわかんないもんですねぇー。
------ 野口
そうそう。だから世の中に発信するというか、人の目に触れるような機会は逃さずに、積極的に出していくといいと思います。どこでどんな人が見ているかわからないですからね。
------ ペン大王
なーるほど、わかりました。じゃ最後にキャラクターを作ってこのサイトに送ってきてくれるような人たちにメッセージをお願いします。
------ 野口
そうですね…さっきもお話ししましたけど、強いキャラクターってどこかひっかかるものがあると思うんですよ。それは例えば、パラッパのかわいらしいだけじゃない何かたくらんでいそうな目みたいな、ディテールに出てくるのかもしれないし、キャラクターを含めた世界観みたいなところに出てくるのかもしれないし、いろいろだと思いますけど、そういうひっかかりが人を惹きつけたり、私たち送り手側に「このキャラクターはこう展開してあげよう」とか考えさせてくれる源になっていると思うんです。だから、そういう素を意識して、自分なりの世界っていうのをグッと突き詰めて、こだわりを持っていいキャラクターを作って欲しいですね。
------ ペン大王
なるほどぉ。楽しいお話をありがとうございました。
キャラクタービジネスの最前線ならではの興味深い話が聞けたと思うけど、どーヨ?人目に触れる機会は逃さないってのは、貴重なアドバイスだよね。ペン大王もガンバろっと。
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