INTERVIEW #2 CGチーム・テクニカルスーパーバイザー 三好勝也
「最新の技術をかき集めて、もっとおもしろいことできないかな」


CGチーム
テクニカルスーパーバイザー
三好 勝也


パペットの動きに合わせて
CGキャラが自在に動く


ヴァーチャルスタジオ


HD21
HDによる3D作品。ロボットのモーションにパペットワークスを使っている。

テレペット
キャラクターのアニメーション・質感設定・カメラアングル・レンダリングをすべてFiLMBOXで行っている。
−−まずは三好さんが所属しているCGチームのお仕事の形態について教えて下さい。

三好 McRAY・CGチームの仕事は、撮影から合成まで、いってみれば企画からはじまって合成仕上げまで全部やりましょうっていうのが一つの特徴かなと思います。 ふつうのCGプロダクションとかだと、CG製作を請け負って、そのCGパートだけをつくるということが多いんですけれど、当然西麻布にインフェルノもありますし、絵チーム、撮影チームもいますし、バーチャルスタジオもありますし、あとCGに特化したディレクションができる人間とか、いろいろな専門分野の人間が集まって、一気に全部フルサポート体制の作業できるんです。

−−その中でテクニカルスーパーバイザーという肩書きの三好さんのお仕事は?

いろいろなノウハウをかき集めて何かおもしろいことできないかな、みたいなことばかり考えている仕事ですかね。

−−もう少し具体的にいうと?

三好 たとえば、このパペット人形ですが、人形はもともと何のためにあるかっていうと、いろんな3Dソフトウエアに対応して、キーフレームを打つためのポージングをつけるためのものだったんです。ただ関節が結構やわらかくできるので、リアルタイム性を持たせることができそうだということで、このFiLM BOXというソフトと合体させて、モーションをリアルタイムに収録するためのデバイスとして使うことにしたんです。 そういった、いろんな技術と技術をくっつけて、何か新しいことをしようと試みるのが私の仕事です。

−−じゃあ、そのソフトとデバイスをつなぐためのプログラムを作ったりもするということですか?

三好 そうですね。このパペット人形自体を動かす仕組みをつくっているプラグインも自社開発なんです。それだけじゃなくって、今説明したFiLM BOXを使ったシステムは、実はヴァーチャルセットとも連動するんです。

−−なんだか凄いことになってますね。

三好 前はヴァーチャルセットってのは単体で存在してたんですけど、せっかくあるし、つなげようか、つなげたらおもしろいことができるでしょう、っていうところでつくったんですけどね。


−−そのシステム自体は何か名前があるんですか?、それともMcRAY独自のヴァーチャルスタジオセットみたいなことなんですか。

三好 システムで販売されてるわけじゃないから、特に名前があるわけじゃないんです。言ってみれば、この環境で動いているのはうちだけですので。

−−じゃあ、本当にいろんなところから技術を総集めしてくる・・と?

三好 たとえばインフェルノとかだと、インフェルノを買ったらそれだけでできるじゃないですか。ヴァーチャルセットって、いろんなテクノロジーの寄せ集めなんで、とにかくいろんなメーカーのいろんな製品をかき集めて、それをつないでやっと完成するものなんです。フロスト自体は絵を出しているだけで、たとえばカメラのセンサーも違うメーカーだし、そのカメラのセンサーから三次元のデータをカメラ位置を計算しているソフトも違うメーカーのものだしっていうふうに全部違うんです。あとは合成しているのも違うもので合成しているし、スイッチはソニーだし、みたいな。


−−まったく独自のシステムが構築されているっていう考え方ですよね。

三好 ある意味ではそうです

−−そういう使い方をしているところはとりあえずないと。

三好 ええ、うちは基本におさまってないというか。

−−基本に収まらない使い方を提案してるのが、テクニカルスーパーバイザーである三好さんなんですね・・?

三好 ええ、実は(笑)

−−「柔軟な頭で難しい技術と遊ぶ」、そんな感性がテクニカルスーパーバイザーには必要なんですね。これからも、いろんな技術を組み合わせて、あっと驚くような使い方の提案、楽しみにしてます。