佐久間隆 |
「ぼくは頼まれたことをやっただけです。あれじゃお客さんにわかりにくいと思ったから提案したんだ。監督の狙いが活きるよう腐心したつもりだし、他者とコミュニケーションできなくてどうするんですか」 |
円城寺満 |
「出たよ、その言葉。たいていそれは言い訳にしか過ぎないんだ。コミュニケーションするまえに内省しろよ、引きこもれよ。作家の表現とは、そこからだろ」 |
阿仁屋優 |
「二人とも、どうもすれ違ってるような気がするな。嫌なやつだが円城寺の才能を俺は買ってるし、真似はできないけど佐久間の実績は認める。だが、この脚本の問題点はむしろユーモアがない点だ。もちろん皮相的なことをいってるんじゃなく、根源的なものとして感じるんだがね」 |
円城寺満 |
「はあっ!?」 |
佐久間隆 |
「ええっ!?」 |
阿仁屋優 |
「じつは俺なりに直しを入れてみたんだ。(ショルダーバッグを叩きながら)ちょっとそこで見てみないか」 |