AIBOのデザインを手掛けるほかにも、CDジャケット、広告、商品デザイン、
パッケージデザイン、ミュージックビデオデザインなど、 ホントに幅広く活躍される若野桂さん。今回はどのような過程を経てデザイナーに なったのか、はたまたデザイナーになる為に重要なことなど色々と教えてもらったぞい!

紅茶派の若野さん
AIBOが掲載された雑誌を見つつ裏話を語ってくれたジョ


のんびり屋のラッテ(左)
元気者のマカロン(右)
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この携帯電話のCMイラストを手掛けたのも若野さんだジョ
11/17には新宿リキッドルームにてイベントが行われるジョ。
------ ペン大王
幅広い分野で活動されている若野さんですけど、まずはその活動をスタートする前のお話を小さい頃からお話いただけますか。

------ 若野
えっと、出身が岐阜の山間部なんですよ。だから遊ぶ時はターザンごっことかよくやってましたね。あっ、そうそう玩具とかもなかったので、それらを作るのも遊びでしたね。例えば竹を加工した"釣り竿"、"銛(もり)"、"凧"なんかを作ったりして。

------ ペン大王
うぉー、すごい! なんか商売とかできますね!

------ 若野
ボケたら商売やろうかなぁ、ホントに! でもこんな話を都内でするとみんな驚くんですよ。「50年前の遊びだ!」ってね。で実際に学園祭とかで竹を加工したモノなんかを作ったりするともっと驚くんだけど。

------ ペン大王
やっぱり小さい頃からモノ作りというのが身近な環境にあったんですね。例えばその当時、若野さんが作ったモノが他の人とは違うとかいうのはありました?

------ 若野
うーん、あんまりなかった気が。でも凧とかは変な形でしたね。周りの子より手先は器用だったけど。でも子供の頃ってそれをクリエイティブなモノなんて考える概念や価値観って無いじゃないですか。だからみんなが好きに作ってるって感じでした。

------ ペン大王
ほう。知らず知らずのうちにモノ作りの知識や技術が身に付いていたんですね。ところでいつ頃、「デザイナーとしてやって行こう」という決心をしたんですか?

------ 若野
進路を考えた頃なので中学2年生の頃だったと思います。それまで何で勉強をやらなくちゃいけないのか、がわからなくて、いつも「次はいつ釣りに出かけられれるのだろう」とか「どんな形のルアーを作ろうか」なんてルアー作りの入門書とかを見ながら考えてました。そうそう中1の頃にはそれらを友達に売ったりとかもしてましたね。そうこうしてるうちに「モノ作りで食べていけたら」って考えはじめましたね。

------ ペン大王
じゃあ高校卒業後は美大へ進学されたんですか?

------ 若野
いいえ。田舎者らしい発想で「美大に行くならやっぱり日本一の東京芸大へ」っていうのがあって受験したんですけど不合格で。でも勉強が出来たので特待生として予備校に通ってたんですね。そんな日々をすごしているうちに大学に行く意味とかを考え出しちゃって。高校の時から音楽が好きで色々なクラブに行ったりして、そこで格好いいインテリアをみたり、そこの壁に絵を書くバイトをしていたんですね。それらを遊び心のわかる業界人が見て評価してくれたんですよ。制作費の交渉や企画の考え方なんかは本当に現場で覚えましたね。

------ ペン大王
じゃあ本当に現場で色々と学びながら自分の作品を紹介し続けてきたんですね。ではこの辺りで世間を「アッ!」っといわせたAIBO<3代目>LATTE&MACARONのお話を聞かせてもらえますか?

------ 若野
デザインを見たときに「アッ!」っと思いました? だったらボクの勝ちですね。

------ ペン大王
え? 確かに「アッ!」とか「エッ!」とか思いましたけど。

------ 若野
今回のコンセプトの1つに「アッ!」とか「エッ!」って思うというのがあったんですよ。要するに1・2代目とは正反対のモノを作りたかったんです。実際にデザインを考えるにあたり1代目のAIBOを見せてもらったんですけど、動いている時はものすごい可愛いのに止まるとプラモデルのような雰囲気があったんですね。だから動いても止まっても可愛い、という見た目と質感が出るようにデザインしました。

------ ペン大王
置いている時もカワイイと。

------ 若野
そうですね、例えるとしたら"ぬいぐるみ"ですね。"ぬいぐるみ"って置いておいても可愛い、そして動かないにも関わらず話しかけたりしてね。だから本当に動き出したらどんなに可愛いかなって思いました。女の子の部屋みたいに"ぬいぐるみ"がたくさんあるところにAIBOが置いてあっても違和感ないと思いますよ。そうそう、2匹同時に遊ばせると2匹がずっと会話してたりして、より可愛く感じるんですよ。もうすぐクリスマスもありますので、ぜひ試してみて下さい!

------ ペン大王
なるほど。こういう裏話があってAIBOが出来あがったんですね。こんな裏話を聞くと本当に欲しくなっちゃいますね。ではちょっと話は変わるのですが、モノ作りのプロである若野さんはどういう作品に対して魅力を感じるか、そしてモノ作りをする人はどういう心構えで望むべきかなどについて簡単なアドバイスをいただけますか? 

------ 若野
最も魅力を感じるのは「自分の信念を持った人」の作品ですね。なぜ自分はモノを作るのか、モノを通じてどのようなメッセージを伝えたいのか、それを実際に作品から感じられるんですよ。例えば平和の歌を聞いた時、実際に戦争を体験した人の歌というのは本当に強いメッセージを感じるじゃないですか。

------ ペン大王
気持ちや背負っているものって作品に出るってよくいいますしね。

------ 若野
そうそう。さらに色々と壁にぶち当たっても頑張りつづけられた人達にはきっちりとした目的やコンセプトがあるんですよ。だから彼らは制作したモノやデザインに対してしっかりと自分の意見や説明もできるし、見た人もその目的やコンセプトに対して魅力を感じるのだと思います。自分がどのような人々にどのようなモノを発信したいのか、ということを一度よく考えるべきだと思いますよ。

------ ペン大王
うぉー。深いっすね。でも最近、コンピュータのソフトとかすごい便利ですし、誰でも手軽に出来ますっていう雰囲気がありますよね。

------ 若野
そうなんですよ。だからちょっとやってみようと思った人がコンテストで大賞を取ることもあるけど、数年後その人の作品を見るとやっぱりちょっとやってみようかなという作品が並びますよ。逆に信念を持ってやっている人の作品集は随所にそれが見える為、本当に素晴らしいものになるんですよ。

------ ペン大王
ミュージシャンであったり映画監督であったり、そういう人達にも当てはまりそうですね。

------ 若野
えぇ。これはもうどの世界でも言えることだと思いますよ。

------ ペン大王
では最後にみんなにお尋ねしている質問なんですけど、もし今の仕事をなさっていなかった場合、どんな仕事をしていたと思いますか?

------ 若野
トラックの運転手ですね。

------ ペン大王
えっ、トラックの運転手? 即決でしたけど・・・・・・。

------ 若野
色々な場所に行けるし、その目的地へ行く道順も自分で決められるじゃないですか。そういう自由なところが好きですね。そういう点では漁師とかもいいかな。

------ ペン大王
今日は本当に有難うございました。


大変忙しいにも関わらず、なんと2時間もお話してもらっちゃいました。話しているうちに若野さんのモノ作りに対する情熱がドンドン見えてきて、本当に格好よかったぞー! 今回は特にデザイナーの人や将来デザイナーを目指す人にとってスゴイ役立つお話だったと思うけどドーよ?


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