今月のボスキャラ・インタビューは大物登場ダジョ!!
なんとあの「ルパン3世」の生みの親、モンキー・パンチ先生の登場だぁ。
どんな話が飛び出すか、乞うご期待!

------ペン大王
えー、今日はガラにもなく、ちょっとキンチョウしておりますが、よろしくお願いします。

------モンキー
いえいえ、こちらこそお手柔らかに、何でも聞いてください。

------ペン大王
まず、やはりというか、ルパン3世についてお聞きしたいんですけど。

------モンキー
はいはい、じゃ、順を追ってお話ししましょうか。ボクはもともと小さな商事会社に勤めていたんですよ。

------ペン大王
えぇー、そーなんですか?

 
------モンキー
そう、会社員だったんですよ。でも、マンガを描くのが好きでね、同人誌に描いて、あちこちの出版社に見てもらったりしたんだけど、たまたまボクの絵を日本人離れしているって面白がってくれた編集長の人がいたんです。で、その人が新しい青年向けの劇画誌を始めるという時に、声をかけてもらったんですよ。

------ペン大王
はいはい。


------モンキー
しかも表紙と巻頭で創刊号をやらせるからってことでね。まだキャリア2年くらいの新人だったんだけど。

------ペン大王
すっごいですねぇ!

------モンキー
それで何がやりたいんだってことで、呼び出されたんだけど…いや、その当時ね、ボク何も考えてなかったんだよね、本当に。

------ペン大王
アハハハ!

------モンキー
で、とっさにその時に頭に浮かんだのが、アルセーヌ・ルパンだったんですよ。だけどその編集長から「今さらルパンはちょっと古い」とか言われて、じゃあ現代的にアレンジしようって、ちょうどその頃、スパイ映画で007が流行っていたりして、その007の大人の遊びというか、ちょっとお色気も入っていたりね、そんな要素をミックスして、マンガにしてみたらどうかって、その場で話しながらできていったんですよ。

------ペン大王
へぇー、じゃ、そもそもは、単なる思いつきだったんですか。

髪型がどことなくルパンっぽい
モンキー・パンチさん。
------モンキー
そうそう、本当にその場の思いつきだよね(笑)、だけど、話をしているうちに、だんだんノッてきちゃってね、変装の名人とか、盗みの名人とか、青年誌だってことで、ボンドガールみたいなお色気も出したいみたいな感じで、いろんなアイディアが出てくるんですよ。

------ペン大王
ははぁ、なるほど、それはもうルパン3世の世界になっていますよね。

------モンキー
それで、まぁいいじゃないかってことになって、とりあえずは3カ月描いてみて、読者の反響がなかったら編集部で原作を用意するからそれを描けみたいな感じで始まったんですよ。だから、わりと最初から自由にやらせてもらえたんですね。

------ペン大王
その場の思いつきっていいながら、アルセーヌ・ルパンが浮かんだってコトは、やっぱりお好きだったんですか、怪盗ルパン?

------モンキー
うん、中学生の頃は相当ハマりましたね、たくさん読んでいたなぁ。で、その前、小学生の頃は怪人二十面相、好きでしたねぇ。

------ペン大王
なんか悪役ばっかりですね、ルパン3世もある意味、悪役だし。悪役というかアウトローがお好きだったんですか?

------モンキー
そうですね、ホームズよりはルパン、明智小五郎よりも二十面相が好きだったな。結局、人は自分にないものに憧れるんじゃないですかね、ボクは子供の頃、優等生だったからね(笑)いや、本当ですよ。

------ペン大王
ルパン3世の性格付けみたいなコトも、その場の思いつきというか、その編集長の人と話しながら決めていったんですか?

「その場の思いつきだよ」と笑顔でとんでもないことを告白してます。
------モンキー
いや、それは実は描きながらだんだん決まっていったんですけど、なにしろ週刊誌という話だったから、じっくり考えてる時間がなかったんですよ。だけど連載中はその編集長からも、編集部からも何も言われたことはなかったですね。すごい編集長でね、モンキー・パンチっていうペンネームの名付け親でもあるんだけど、部下にも「モンキーには余計なこと言わずに好きに描かせろ」って言ってたくらいで、だから、本当に好きにやらせてもらったですね。

------ペン大王
じゃ、ルパンの性格付けで参考になったこととか、ありますか?

------モンキー
うん、これはね、描き始めて10年くらい経ってから気づいたんだけど、ルパンの世界ってのはこりゃ三銃士だったんだなってのがあるんですよ。

------ペン大王
はぁ、あの世界名作全集みたいなのに入っている三銃士ですか?

いつも笑顔を絶やさない。
このへんもルパンちっくだね。
------モンキー
そうそう、デュマの三銃士ね。ルパンがダルタニャンで、敵対する銭形はライバルであるローシュフォール、不二子は女スパイのミレディ、次元や五右衛門は三銃士の仲間のアトスにアラミスと。もちろんディテールは違うけどね、キャラクターの性格設定とストーリーの流れからいったら、三銃士だったんだなと。

------ペン大王
ルパンはダルタニャンだった!?

------モンキー
それは描いているうちに勝手にそうなっちゃっていったんだよね。三銃士も中学の頃好きだったんですよ。結局、その人が一生引きずって影響を受けてしまうものは、中学生くらいの頃に見たり聞いたり読んだりしたものなんじゃないかな。

------ペン大王
中学生の頃にどんなものに囲まれたかで、一生が決まってしまうと。

------モンキー
そうですね、そんな感じしますね。だから意識していなくても、その頃に影響を受けたものは勝手に出てきちゃうって思いますよ。

------ペン大王
性格設定は三銃士ってのはわかりましたけど、ネーミングの由来ってのも教えてください。かっこいーじゃないですか、次元大介とか。

三銃士の話になると、
ちょっと熱が入ってました。
------モンキー
ネーミングもねぇ、いや、本当にあんまり考えてなかったんだよなぁ。ルパンの場合も最初の打ち合わせの時に、指で数えて「だいたい3代目くらいだよな」みたいな感じで(笑)。次元はね、単に字面が好きっていうだけのことだったし、不二子はね、たまたま目の前に富士山のカレンダーがあって、あー、不二子にしようっていう。

------ペン大王
えー、そんなに単純なものだったんですかぁ?

------モンキー
そうそう、いいかげんなものなんですよ(笑)だけどね、後で聞いたら、怪人二十面相にも不二子って登場しているんですよ。しかも同じ漢字で。明智小五郎の恋人の名前だったかな。つい最近知ったんだけど。

------ペン大王
へぇー、スゴイ偶然ですねぇ

------モンキー
うん、というより、頭のどこかに残っていたのかもしれないね。

------ペン大王
あー、なるほどぉ、昔読んだものが、ですね。

------モンキー
うんうん、やっぱり、中学生のころの影響は濃いということですかね。

------ペン大王
ところで、ルパンの人気って根強いというか、息が長いですよね、そのへんの理由って、どんなふうにお考えですか?

------モンキー
いやぁ、それは難しいなぁ…意識してやってたわけじゃないんですよね。ストーリーの流れを作っているうちに、あんな性格で、あんな男でってことになってしまったんですよね。

------ペン大王
ははぁ。

------モンキー
かえって、あれこれ計算してどうだ!って作ったキャラクターってのは、読者にも見透かされちゃうんじゃないですかね。で、ボク自身も、描いていて、結末どうなるか自分でもわからない、みたいな話の方が、読者からの反響がよかったりするしね。だからあんまり考えすぎずに自然体でやっていくのがいいんじゃないんですか。だいたいルパン自身がヒジョウに自然体だしね(笑)。

------ペン大王
そういえばそうですよね。では、そろそろ最後の質問です。ずばりキャラクターを描くコツを教えてください。

ネーミングについても
「考えてなかったなぁ」だって!
------モンキー
描きやすいもの、それも人がマネして描きやすいものを描きなさいってことかな。ルパンってのもね、最初は長髪で、五右衛門っぽかったんですよ。だけど週刊誌の連載ってことで、こんなうっとおしいの描いてらんないと思って髪を短くしたんですよ。

------ペン大王
おぉ、ルパンだ!

------モンキー
そうそう、で、これにさ、目を隠して帽子をかぶせて、ひげともみあげをつなげると…

------ペン大王
ありゃ、次元になった!へぇー、おもしろいなぁ。

------モンキー
ね、これならカンタンでしょ。カンタンってことは人にもマネして描いてもらいやすいってことだから。自分も描きやすいし、人が見ても描きやすいもの。これがいいキャラクターの条件なんじゃないですかね。

------ペン大王
楽しいお話をありがとうございました。


呵々大笑(かかたいしょう:おおいに笑うこと)といった言葉がピッタリな笑い方をされるモンキー・パンチさん。大物の風格漂うたたずまいが、かっこよかったぞ。“目の前で生ルパン”を描いてもらった時には単なるファンに戻ってしまったペン大王でした。

長髪だったルパン。髪を短くして、ほらね、みんな知ってるルパンに。
そして、帽子で目を隠すと…
次元になっちゃったよ!
今月のキャラメーキングの極意
いろいろなものを見たり聞いたり読んだりしよう!
カンタンに描けるものを追求しよう!

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