映像クリエイターを目指す人なら一度は耳にしたことがある「インフェルノ」や「ヘンリー」。その響きからしていかにもMacやWinベースの映像制作ツールとはまったく違う次元の匂いがプンプンする名前だけど、その実態とは!?何よりも、僕らが慣れ親しんでいるPremiereやAfterEffectsとの決定的な違いは一体何なのか?

西麻布にあるMcRAY
編集スタジオ
マネージャーの藤野さん
ハイエンド映像編集への
入り口
これがINFERNOの頭脳
sgi社製ONYX2
座り心地の良い
革張りソファ
ここで操作をする
ポイントを選択し
トラッキングさせる
INFERNOのレイヤー
合成メニュー
オブジェクト志向
なバッチ処理
タブレットでペン入力
憩いの場と化す
ミーティングコーナー
MISSION #01 INFERNO
INFERNOってAfterEffectsと何が違うの?


 ということでプロの仕事を研究する「Creator's Lab」のファーストミッションが決定!今までとのやる気の違いを見せるためにも探求心で盛り上がっているうちに行動に移るcafe@FRANKEN編集部。そして一度でも本気になればこっちのもの。西麻布にハイエンドシステムがずらりと揃っているゴージャスな編集スタジオを発見!!ここなら積もりに積もった疑問もまとめて答えてくれそうだ。このチャンスを逃す手はないので急遽、シリタガリヤ集団「ハイエンドのぞきみ隊」を結成して西麻布に、いざ出陣!

収穫その1 「McRAY編集室のキーマン二人」
 まず一番の収穫は人気者でなかなかアポがとれないキーマンのお二人に会えたこと。1時間の使用料が10万以上もするINFERNO編集室を取材のために空けてくれたマネージャーの藤野稔氏とMcRAYのエース編集マン、佐藤友哉氏。

収穫その2 「INFERNOの正体」
 映像編集には大きく分けてVTRでリニア編集するものとハードディスクに取り込んでパソコン上でノンリニア編集するものがあるが、INFERNOやHENRYはいずれも後者のハイエンド編集システム。エフェクトや合成を得意とするINFERNOはカナダのDiscreet社が開発した画像合成システム。HENRYはイギリスのQUANTEL社が作ったのでメーカーが違うけど、共通して言えるのはどっちも「長男坊」だということ。



CMやPV、そして映画などの業務レベルで今最も愛用されているのはINFERNOの方だと語る佐藤さん。でも同じ長男なのに一体HENRYとどこが違うんだ!?いてもたってもいられなくなった「のぞきみ隊」。覗きたい願望が絶頂を極めたところで、佐藤さんが念願のINFERNO編集室の中に案内してくれた!

収穫その3 「HENRYとINFERNOの使い分け」
 殺伐としているかと思った編集室は超リッチな快適空間。座りなれた椅子で佐藤さんが丁寧に説明してくれた。話によると、HENRYは手書きペイント機能が優れているので汚し系のタイポグラフィとかに向いている。INFERNOはサードパーティーが提供しているプラグインを使って色々なエフェクトを組み合わせて使えるので、細かい合成とか派手なエフェクトを得意とする。INFERNOは色々なパラメータがあってラクではないが、使い方を覚えればできることが無限に広がる。ちなみにサファイアや5Dなどのサードパーティーが提供しているものを含めるとエフェクトは100種類近くあるから驚きだ。感覚的にはINFERNOの方がAfterEffectsに近い。

収穫その4 AfterEffectsとの決定的な違い
 プライベートでAfterEffectsも使っている佐藤さん。一番大きな違いはスピード。あとは3D空間での合成。AEの5.0バージョンアップで3D空間が使えるようになったので差が近づいたが、3D空間ならなおさら作業スピードの違いに大きな差が出る。AfterEffectsは単体の素材を作ってあとでリミックスさせる。つなぎの編集が多い時はプレミアで統合しなければならないが、INFERNOはディスクの容量、スピード、インターフェース、などで全体が瞬時に把握できるので作業内容を見ながら作っていける。昔はAfterEffectsがINFERNO、PremireがFIREというINFERNOの下位機種に例えられていたが、最新のインフェルノは編集機能が強くなってる。編集機能が強化された最新のINFERNOは、After Effects + Premire のハイエンド版だと思えば分かりやすい。

 佐藤さんにAfterEffectsで、今INFERNOを使ってやっている作業をができるかどうか聞いてみると、「僕だったら、辞退します」と言っていた。理由は「INFERNOだったら1日でできるところを、AEだと10日間フル稼動でやってみても、きれいに出来上がるかの保証がないから」とのこと。

 スピードやエフェクト以外でAfter Effectsとの差が出るINFERNOの具体的な機能を佐藤さんに聞いたところ、いくつかの例を紹介してくれた。

*トラッキング機能
カメラの動きに合わせて設定した1つのポイントを追っかける機能。複数ポイントを設定すれば自動的に連番フレームでマスクを作ってくれる大変ありがたい機能だがAfterEffectsにはついていない。

*レイヤーモードのパラメータ設定
「オーバーレイ」や「乗算」などAfterEffectsのレイヤーモードはスゴイのですが、一つ前のバージョンアップでINFERNOの標準でも似たようなことが出来るようになった。元々サードパーティで作っていたものだがINFERNOの場合はパラメータ設定でより細かな合成が出来るのがAfter Effectsとの違い。

*バッチ機能
自由に元素材の作業ポイントに戻って修正することができる機能。コンポジションにコンポジションを読み込むめばAfter Effectsでも似たような事ができるが、INFERNOはクリップとエフェクトがオブジェクトとして見えるので混乱する事なく感覚的に作業ができる。

*入力
マウスじゃなくてペン入力なのはパスを打ったり、描いたりすることが多いから。強弱もつけられる。数値などはキーボードから入力。

収穫その5 料金表
 プロの間でも映像制作の定番ソフトとなっているAfterEffects。そのAfterEffectsのProバージョンでさえ出来ないことが簡単に出来てしまうINFERNOは映像クリエイターにとってまさにヨダレもの。そんなヨダレもののINFERNOは一体、いくら払えば使えるだろうか?McRAYがクライアント向けに設定した料金表をちらっと見せてもらいました。

ちなみに利用者の年齢制限はないとのこと。
 1)仕事をクライアントからまかされるだけの実力がある
 2)INFERNOを使う明確の目的がある
  (エディターにちゃんとしたディレクションが出来ること)

 3)その費用を払ってくれる信頼のおけるクライアントがいる
上記が揃えば誰でもOK。




 初ミッションでいきなりの大収穫。「ハイエンドのぞきみ隊」大バンザイ!!こういう24時間番組をTVでやってたらエンドレスに見てられそうだ。せっかく盛り上がってきたんで覗き見計画は続行します。

次回は実際のCM編集現場を死ぬ気で「のぞきみ隊」。乞う、ご期待!!