阿仁屋優 |
「…自分勝手なのはいいだろう。昔からそうだし、だれだってそういう一面はある。俺のルポが中断させられたのもやむをえないかもしれない。だが、本当にああいう内容でいいんだろうか。最初の脚本にあったうわっつらへのこだわり、円城寺本来のフットワークのよさはどこへいったんだろうか。完成品を見るまで本当のところはわからないんだが…」 |
須田明 |
「…いやおうなく、周囲や自分を裏切っていく人っているでしょ。正直者なんですよ。なじめないんですよ。基準が違うんですよ。だから、変わったといえば変わったし、変わってないといえば変わってない…」 |
阿仁屋優 |
「だれのことを言ってるの。円城寺満、それともきみ自身?」 |
須田明 |
「阿仁屋さん、でもルポは止めないんでしょ?」 |
阿仁屋優 |
「あいつは、わざと誤解されようとするけど、俺は追いかけるよ。メジャー志向のマイナー野郎はたくさんいても、その逆は珍しいからな」 |
須田明 |
「…そういうことかなあ」 |
阿仁屋優 |
「須田くん、きみはいったい何を考えている」 |
須田明 |
「ぼくは、この映画の主役です。監督という役をやらせてもらった…」 |