山下響子 | 「あなたのタイプね」 |
円城寺満 | 「勘違いしちゃいけない。これは映画のなかの話で、そもそも監督の意中の人はプロデューサー役をやるきみだ。女優の先輩として、この企画に大きく関わった共演者の一人として、だからこうして相談してるんだ」 |
山下響子 | 「ソ・ウ・ダ・ン…」 |
円城寺満 | 「もしかして、嫉妬してるのか? そりゃ、ないでしょ」 |
山下響子 | 「もちろんよ。私たちの間は気まぐれ。プロデューサーの津村女史と一緒になるようすすめたのはこの私ですから」 |
円城寺満 | 「何度もいうけど、現実とあまり混同しないでほしい。これは須田明が監督役を演じるフィクションなんだ」 |
山下響子 |
「でも、本当の監督はあなた。今度のホン(脚本)って、狙いとはいえちょっとあざとすぎない?」 |
円城寺満 |
「それはきみがコンプレックスから逃れられないせいだろう。映像になればまったく違ってくる。それに、いまは日比野まりの話をしている」 |
山下響子 | 「もう一度見せて。ところで明くんはなんていってるの?」 |
円城寺満 | 「(操作卓を操りながら)彼は反対なんかしないさ」 |